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雄弁家堺屋太一10年の 既知が如くに良く話けり(09月07日)(火)

 小説の才能は、「嘘をつく才能」と言われるが、この嘘と言っても二つある。
 ひとつは「情報」を全て分かっていて、適時に外に出す時には「演出」したり、むしろ逆の事を言ったりする、いわば「自覚」して嘘をつく人。
 もうひとつは、最初の段階から、勝手な物語を創ってしまう。
嘘をついているのだと言う自覚などまったくなく、「大法螺」を吹きまくる人である。
 
 ロシア語の通訳として有名な、日本ペンクラブ常務理事の米原万里さんが面白い事を言っていた。
 「英語には、日本人でも上手な人が非常に多い。逆に日本語が良く分かる外国人も非常に多いから変な通訳は絶対に出来ない。
 しかし、ロシア語を理解する日本人は少ないから、恵まれている。
 もっと恵まれているのがイタリア語で、値段は上げ放題、質は下げ放題だと密かに影口を叩かれています」
 
 「イタリア語の名人、田丸公美子さんは子供をしかる時『嘘は通訳の始まりですよ』と言うそうです。
 それは、通訳は、嘘がばれないで辻褄が合えば良いから、一つ嘘をつくと、それを取り繕うためにまた嘘を重ねるので、雪達磨式に嘘が積もって、ついに破綻するのです。
 嘘をつくならば、最後まで破綻無く嘘をつき通せる能力が必要です。田丸さんは天才です。
 それが出来ない通訳は忠実に正確に訳したほうが良いと思います」
 
「しかし、ある時、日本のA外相がB国の大統領と会見して円借款に触れた時に『お国は貧しいから・・・』と発言したのに、外務省の通訳がそのまま直訳したら、大統領の顔色がサット青ざめました。
 もう少し柔らかな表現にすれば良かったのにと、その当時、私も思ったけれども、良く考えると、通訳がクッションになって、永久に両国は誤解し続けることになります。
 むしろ、日本の政治家の考え方や、相手方の大統領の反応なども正確に認識出来て良かった、天晴れな外交官だったと後で思いました」
 
 「ソ連時代の末期、アゼルバイジャン共和国内にあったアルメニア人居住区が、隣のアルメニア共和国に帰属換えを要求して、アゼルバイジャン人とアルメニア人とが内乱状態でした。
 日本からある市長さんが、アゼルバイジャンを訪問しました。私も同行しました。
 宴会で乾杯の音頭に市長が立ち『ああ、このアルメニアのコニャックに目がないんだなあ』と言ってしまったのです」
 
 「とたんに、今までの和やかな雰囲気が殺気立ちました。日本語は分からなくても『アルメニア』と『コニヤック』と言う単語は、全員が良く分かります。
 どう通訳するのかと、全員が私の口元を見て息を飲んでいました。緊迫の一瞬です。
 私は、突然ひらめいて『アルメニアのコニヤックが世界一だと思っていたが、お国のには敵いません』と言って、どうにか切り抜けました。
 通訳には、機転が最重要事です」
 
 台風18号が九州に上陸したために、東京も影響を受ける。8時30分 トーヨー 8時45分 区へ 9時15分 区長に「平成15年度江戸川区各会計歳入歳出決算審査意見書」「江戸川区基金運用状況審査意見書」を日下部義昭委員と二人で提出した。
 10時40分 財政援助団体 エルム福祉作業所の監査 12時30分 案件があって要談 13時30分 退庁 15時45分 堺屋太一氏を事務所に訪ねてインタヴューする。同氏の博識多彩なる見識には敬意を表するものである。
 
 堺屋太一氏は私に「今の日本には、表面には現れていない秘密の、訳の分からない多くの負債があります。 
 これが最も重大な問題です」と語った。氏の考えは大変に参考になった。
 堺屋氏とインタヴューが終わってから、藤原佑好氏と打ち合わせ。
 平井の島村事務所にヴィデオ・テープのことで案件があって、JRに乗って行き立ち寄り、無事に案件を解決した。
 
 九州を台風18号が抜けて日本海へ行ったが、各通過地点での被害多し。
 東京も午後7時過ぎから風雨があり、これが夜中まで強風吹き続く。
 
 夜は原稿整理そのほかで過ごす。
 
 ●才能はそれぞれあれどコンパスの 人によりけり長さ短さ
 ●雄弁家堺屋太一10年の 既知が如くに良く話けり
 
 米原万里氏も、堺屋太一氏も頭抜けた才能がある日本人であると感じ、再認識した次第である。

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